防汚加工製品の表示と検査機関

衣類などの繊維製品のケアを簡単にするために不可欠な防汚性能を有した製品。

今ではかなり身近なものになっていますよね。

この記事が、防汚性能を訴求した製品の開発、広告、販売に関わる方の助けになることを心より願っております。

市販の防汚加工製品の表示

オンラインショップや実店舗にて調査したところ以下のような表示が見られました。

商品の種類としてはバッグ、靴、スリッパ、エプロン等が多い印象でした。

商品の優良性を表示する際に知っておくべきこと

原則として「合理的な根拠」は、あらかじめ事業者が有しているものと考えられています。

そのため、事業者は「合理的な根拠」とは何かを理解しておく必要があります。

不実証広告ガイドラインでは、「合理的な根拠」の判断基準を以下の要件を満たすことしています。

①提出資料が客観的に実証された内容のものであること。

②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること。

出典:不当景品類及び不当表示防止法第７条第２項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

また、上記①の「客観的に実証された内容」とは、以下のいずれかに該当するものとしています。

①試験・調査によって得られた結果

②専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献

出典:不当景品類及び不当表示防止法第７条第２項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

さらに、上記①の「試験・調査によって得られた結果」の例として以下のものが挙げられています。

・ 日用雑貨品の抗菌効果試験について、JIS（日本工業規格）に規定する試験方法によって実施したもの。
・ 自動車の燃費効率試験の実施方法について、10・15モード法によって実施したもの。
・ 繊維製品の防炎性能試験について、消防法に基づき指定を受けた検査機関によって実施したもの。

出典:不当景品類及び不当表示防止法第７条第２項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

以上が「商品の優良性を表示する際に知っておくべきこと」でした。

防汚加工製品に関する試験

防汚加工製品に関する代表的な試験として以下のものがあります。

防汚性試験の基本的な考え方

防汚性試験は、「汚れにくさ」と「付いた汚れの落ちやすさ」を評価します。（食品汚れは落ちやすさのみ。）汚れが付きにくいに越したことはないですが、付いてしまっても簡単に落とせるのなら「汚れを防いでいる」という考え方ですね。

JIS L 1919

泥汚れ、粉塵汚れ、水性汚れ、油性汚れを模した人工汚れ物質のいずれかを規定の方法で試料に付着させます。その後、規定された簡単な動作で汚れを落とします。この時、試料に残った汚れ物質が、試料をどれだけ汚染しているかを級数判定します。これが「汚れにくさ」です。

次に、汚染された試料を洗濯、またはドライクリーニング処理を行い、汚れを落とします。洗濯（またはドライクリーニング）処理後の試料が、どれだけ汚染されているかを級数判定します。これが「付いた汚れの落ちやすさ」です。

食品汚れ試験（繊技協法）

カレー、ミートソース、ラー油、ソース、醤油、ワイン、コーヒー等の食品を、試料に付着させます。汚染された試料を洗濯し、試料に残った汚れの度合いを級数判定します。

花粉汚れ試験（繊技協法）

疑似花粉を用いて、花粉の付きにくさと付いた後の落ちやすさを評価します。

防汚加工製品に関する試験の依頼が可能な検査機関

試験において、客観的であることはとても重要な要素です。

事業者自ら行った試験であっても、適切に実施されたものであれば客観性が確保されますが、一般的には第三者機関が適切に実施したものの方が、より客観性が高いとされています。

ここでは、防汚加工製品に関する試験の依頼が可能な検査機関をご紹介します。

（一財）カケンテストセンター

	試験の可否
JIS L 1919 （繊維製品の防汚性試験）	○
食品汚れ試験（繊技協法）	○
花粉汚れ試験（繊技協法）	○

（一財）カケンテストセンターホームページ（外部サイトへリンクします）

（一財）ボーケン品質評価機構

	試験の可否
JIS L 1919 （繊維製品の防汚性試験）	○
食品汚れ試験（繊技協法）	○
花粉汚れ試験（繊技協法）	○

（一財）ニッセンケン品質評価センター

	試験の可否
JIS L 1919 （繊維製品の防汚性試験）	○
食品汚れ試験（繊技協法）	○
花粉汚れ試験（繊技協法）	○

一般財団法人 ニッセンケン品質評価センターホームページ（外部サイトへリンクします）

（一財）日本繊維製品品質技術センター

	試験の可否
JIS L 1919 （繊維製品の防汚性試験）	○
食品汚れ試験（繊技協法）	○
花粉汚れ試験（繊技協法）	○

最後に

今回ご紹介した内容は、あくまで基本的な考え方の一例です。

実際には表示の一部ではなく、表示全体から受ける印象によって、各商品ごとに必要な根拠等は異なります。

また、冒頭の「市販の防汚加工製品の表示」について、当サイトではこれらの表示を推奨するものではありません。

詳細については専門家へご相談ください。