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吸湿発熱性製品の表示と検査機関

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この記事で分かること
  • 実際に販売されている商品の吸湿発熱性に関する表示
  • 商品の「効果・性能」を表示する際の注意点
  • 吸湿発熱性試験の概要
  • 試験依頼ができる検査機関

寒い冬を少しでも快適に過ごすために不可欠な吸湿発熱性を有した製品。

今ではかなり身近なものになっていますよね。

この記事が、吸湿発熱性を訴求した製品の開発、広告、販売に関わる方の助けになることを心より願っております。

市販の吸湿発熱性製品の表示

オンラインショップや実店舗にて調査したところ以下のような表示が見られました。

  • 吸湿発熱素材
  • 発熱効果
  • プラス(+)〇〇℃の暖かさ(〇〇は数字)
  • 熱を発生させる
  • 発熱〇〇(〇〇は商品の一般名称)

商品の種類としてはインナー、靴下、寝具が多い印象でした。

商品の効果・性能を表示する際の注意点

商品が有する「効果・性能」を正しく表示することは、一般消費者による合理的な商品選択の助けとなります。

一方で、合理的な根拠によって裏付けされていない「効果・性能」の表示は、一般消費者の合理的な商品選択を阻害します。

原則として「合理的な根拠」は、あらかじめ事業者が有しているものと考えられています。

そのため、事業者は「合理的な根拠」とは何かを理解しておく必要があります。

不実証広告ガイドラインでは、「合理的な根拠」の判断基準を以下の要件を満たすこととしています。

①提出資料が客観的に実証された内容のものであること。

②表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること。

出典:不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

また、上記①の「客観的に実証された内容」とは、以下のいずれかに該当するものとしています。

①試験・調査によって得られた結果

②専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献

出典:不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

さらに、上記①の「試験・調査によって得られた結果」の例として以下のものが挙げられています。

・ 日用雑貨品の抗菌効果試験について、JIS(日本工業規格)に規定する試験方法によって実施したもの。
・ 自動車の燃費効率試験の実施方法について、10・15モード法によって実施したもの。
・ 繊維製品の防炎性能試験について、消防法に基づき指定を受けた検査機関によって実施したもの。

出典:不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針― 
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation/misleading_representation/not_demonstrated_ad/)

「根拠」や「裏付け」のことをエビデンス(evidence)と呼ぶことがあります。

エビデンスの提出を求められたら「合理的な根拠」である試験データ等を提出しましょう。

以上が「商品の効果・性能を表示する際の注意点」です。

中国人スタッフに誤解なく伝えるのが一番難しい・・・

そんな方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!

吸湿発熱性製品に関する試験

吸湿発熱性製品に関する代表的な試験として下記のものがあります。

  • JIS L 1952-1(最大吸湿発熱温度測定法)/ISO 18782
  • JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)

吸湿発熱性試験の基本的な考え方

吸湿発熱とは、空気中の水分が繊維表面に吸着することで、運動エネルギーが熱エネルギーに変換されて発熱する現象のことをいいます。

水分子は空気中を自由に動き回っていますが、繊維の表面に水分子が吸着することで動きが制限されます。この時、運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、発熱するというものです。

吸湿発熱性試験は、この仕組みを利用しています。具体的には、試料を湿度の低い環境に一定時間放置した後、同じ温度で湿度の高い空気を送り込み、試料表面の温度変化を測定するというものです。

また、一般的に吸湿発熱により得られた熱は、時間経過により失われます。

発生した熱をどれだけ維持できるかを調べる方法は、JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)で規定されています。

吸湿発熱性製品に関する試験の依頼が可能な検査機関

試験において、客観的であることはとても重要な要素です。

事業者自ら行った試験であっても、適切に実施されたものであれば客観性が確保されますが、一般的には第三者機関が適切に実施したものの方が、より客観性が高いとされています。

ここでは、吸湿発熱性製品に関する試験の依頼が可能な検査機関をご紹介します。

(一財)ボーケン品質評価機構

試験の可否
JIS L 1952-1/ISO 18782
(最大吸湿発熱温度測定法)
JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)
  • 繊維製品試験、検査の大手◎
  • ISO 9001取得機関
  • JNLAまたはISO/IEC17025認定機関

(一財)カケンテストセンター

試験の可否
JIS L 1952-1/ISO 18782
(最大吸湿発熱温度測定法)
JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)
  • 繊維製品試験の大手◎
  • ISO 9001取得機関
  • JNLAまたはISO/IEC17025認定機関

(一財)カケンテストセンターホームページ(外部サイトへリンクします)

(一財)日本繊維製品品質技術センター

試験の可否
JIS L 1952-1/ISO 18782
(最大吸湿発熱温度測定法)
JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)
  • IDFB認定試験機関
  • ISO 9001取得機関
  • JNLAまたはISO/IEC17025認定機関

(一財)ニッセンケン品質評価センター

試験の可否
JIS L 1952-1/ISO 18782
(最大吸湿発熱温度測定法)
JIS L 1952-2(熱保持指数測定法)
  • エコテックス認証機関◎
  • JNLAまたはISO/IEC17025認定機関

一般財団法人 ニッセンケン品質評価センターホームページ(外部サイトへリンクします)

最後に

今回ご紹介した内容は、あくまで基本的な考え方の一例です。

実際には表示の一部ではなく、表示全体から受ける印象によって、各商品ごとに必要な根拠等は異なります。

また、冒頭の「吸湿発熱性製品の表示」について、当サイトではこれらの表示を推奨するものではありません。

詳細については専門家へご相談ください。

本日もお仕事お疲れ様です!

試験・検査機関の選び方はこちらの記事で解説しています!

迷っている方は参考にどうぞ!

依頼時に知っておくと試験・検査機関の方とのやり取りが少し楽になるかも!?

試験・検査依頼をスムーズに完結させたい方はこちらの記事を参考にどうぞ!

プロフィール
この記事を書いた人
あたろう

某国立大学院(理系)を修了後、検査機関の職員として勤務。
ニッチで閉鎖的な業界ということもあり、ネット上に情報が少なく不便に感じる。
業界内の人間がそうなのだから、依頼者側からしたら、より分からないことが多いのでは?と考える。
それならば、「自分が調べて学んだ知識」や「調べ方」などのお役立ち情報を提供しようと当サイトを立ち上げる。
当サイトのテーマは「商品テスト(試験、検査)の攻略サイト」である。

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