こちらの記事で容器包装リサイクル法における容器包装の考え方と、容器包装を正確に見極めることの重要性を解説させていただきました。今回はその続編となります。
「容器包装の判断はできるようになったけど、具体的にはどんな表示をしたらいいの?」
という疑問に答えるような内容になっています。
きっとお役に立てると思いますので最後まで見ていってください。
記事の最後にリサイクルマークの確認フロー画像を貼っておきますので参考にしてください!

まずはこれを意識しておけばOK!”直接表示”
識別表示の基本は、”分離できる個々の容器包装に対してそれぞれ直接表示すること” です。
直接表示とは、個々の容器包装に対してそれぞれ識別表示することを言います。
ボールペンを例に考えてましょう。
・商品はボールペンで、袋(プラスチック製)に入れられており、袋の中には商品の他に、台紙(紙製)が入っています。
・袋および台紙は、商品情報などが印刷された無地ではないものとします。
・袋および台紙は容器包装リサイクル法における ”容器包装” と判断されたものとします。
繰り返しになりますが、識別表示の基本は、”分離できる個々の容器包装に対してそれぞれ直接表示すること” です。
今回の例における、容器包装とは、”袋” と”台紙” となります。
また、”袋” と”台紙” は分離できるので、”袋” には”プラマーク” を”台紙” には”紙マーク” をそれぞれ表示することになります。



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一括表示について
一括表示とは、2つ以上の容器包装が存在する場合において、いずれかの容器包装にまとめて(一括して)表示する方法のことを言います。
ただし、一括表示を適用できる条件や一括表示する際のルールがあるので注意が必要です。
一括表示の注意点
一括表示をする際の注意点は以下の2点となります。
- 一括表示の適用条件を満たしているか
- 役割名の適切な表示があるか
順番に見ていきましょう。
一括表示の適用条件を満たしているか
一括表示は便利な表示方法ではありますが、何でもかんでもできる訳ではありません。
まず、大前提として、2つ以上の容器包装リサイクル法における ”容器包装” が使用されていることが条件となります。
この大前提のもとで、以下のいずれかの条件を満たしているものは、一括表示が認められています。
- 2つ以上の容器包装が、ほぼ同時に捨てられる容器包装である場合
- 2つ以上の容器包装のうち、いずれかの容器包装が無地である場合
- 2つ以上の容器包装のうち、いずれかの容器包装に物理的に表示不可能な場合
順番に解説していきます。
2つ以上の容器包装が、ほぼ同時に捨てられる容器包装である場合
例としてボールペンについて考えてみましょう。
・商品はボールペンで、袋(プラスチック製)に入れられており、袋の中には商品の他に、台紙(紙製)が入っています。
・袋および台紙は、商品情報などが印刷された無地ではないものとします。
想像していただきたいのですが、ボールペンを購入して使用する時、商品以外のもの、すなわちパッケージなどの容器包装はすぐに捨ててしまいますよね。しかも今回の例のように、袋と台紙があるものであれば、それらはほぼ同時に不要になり、捨ててしまうと思います。
袋または台紙のいずれかに一括表示することが可能です。
2つ以上の容器包装のうち、いずれかの容器包装が無地である場合
先ほどの例と同様にボールペンで考えます。今回は台紙のみが無地のものであるとします。この場合、”容器包装” と判断されるものは、”袋” と ”台紙” であることに変わりありませんが、無地の容器包装には識別表示を省略できるというルールがあります。 ただし、省略してよいのは無地の容器包装に対してであって、その他に表示可能な容器包装があるのであれば、そこに一括表示する、というルールもあります。
台紙が無地なので、台紙自体には識別表示をする必要はありません。一方で、袋は無地ではないため、袋に台紙の分の識別表示も一括表示する必要があります。
2つ以上の容器包装のうち、いずれかの容器包装に物理的に表示不可能な場合
経済産業省ウェブサイトでは、物理的に表示不可能な容器包装について、次のように表現しています。
なお、(物理的に)表示不可能な容器包装とは、「素材状、構造上その他やむを得ない理由により表示をすることが不可能な」容器包装のことを指します。
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html)
例えば「ネット状の袋」や「細長い容器」などです。
なお、プラマークまたは紙マークの大きさについては、上下の長さが印刷、ラベルの場合6mm以上、刻印の場合8mm以上と決まっていますので、この表示スペースがあるか否かが、物理的に表示可能であるか否かの一つの目安になると考えられます。
物理的に表示不可能な容器包装と判断できる場合の対応としては、前述した、「いずれかの容器包装が無地である場合」と考え方が似ています。
物理的に表示不可能な容器包装には識別表示を省略できるというルールがありますが、省略してよいのは物理的に表示不可能な容器包装に対してであって、その他に表示可能な容器包装があるのであれば、そこに一括表示する、というものです。
役割名の適切な表示があるか
次は、役割名についての解説です。まず覚えておきたいのは、一括表示と役割名はセットであることです。
”役割名” とは、下図の「袋」にあたる部分です。

役割名が必要な理由は単純で、そのマークはどこの部分を指しているのかを消費者に分かりやすく伝えるためです。また、役割名に使用する文言は特に定められていませんが、消費者にとって分かりやすく、誤解を招かない文言を使うことが重要です。
表示例
上記を踏まえて、ボールペンを例に考えてみましょう。
・商品はボールペンで、袋(プラスチック製)に入れられており、袋の中には商品の他に、台紙(紙製)が入っています。
・袋は商品情報などが印刷された無地ではないもの、台紙は無地のものとします。
・袋および台紙は容器包装リサイクル法における ”容器包装” と判断されたものとします。
前述のとおり、無地の容器包装はそれ自体への識別表示の省略が認められていますが、それ以外に表示可能な容器包装があるのであれば、そこに一括表示する決まりがありますので、このルールに則ると下図の表示が袋上に必要になります。


一括表示をしているので、それぞれの役割名を記載します。もし、紙マークの役割名(台紙)がなければ、袋上に表示されている紙マークは、何に対する表示か分かりませんよね。
この考え方をすると、「プラマークは”袋”に対する表示で、袋上に表示しているのだから、役割名は不要では?」と考える方もいらっしゃいますが、一括表示と役割名はセットであることを忘れないで下さい。
一括表示をする以上は役割名が必要です。
これが一括表示の基本的な考え方になります。
材質表示について
補足ですが、プラスチック製容器包装には材質表示をすることがあります。

上図における「PP」の部分ですね。
経済産業省ウェブサイトでは、材質表示について、次のように表現しています。
材質表示とは、プラスチック製容器包装において、使用されているプラスチック等の種類を表す表示のことです。材質表示には、識別表示とは異なり、法的義務はありませんが、望ましいこととされています。
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html)
気を付けたいのは、材質表示はあくまで材質を表示しているものであって役割名とは異なるということです。
結構見かけることがあるのですが、一括表示をしているもので、プラマークの下に材質表示だけ記載されているものがあります。
材質表示を役割名の代わりとすることはできません。一括表示のルールとしては、役割名が必要です。役割名を表示しましょう。(材質表示もできれば入れましょう。)
まとめ

2回にかけて解説させていただきましたが、結局のところお伝えしたいのは、正しい表示をするためには、”適切な場所に適切な内容を” となります。
場所とは、容器包装自身です。
内容とは、識別マークの種類、役割名、表示サイズ、(材質表示)です。
リサイクルマークは、まだまだ細かいルールがあり、判断に悩むことがあると思います。なかなか相談できる相手が見つからない、、、という方は経済産業省や対応可能な検査機関にお問い合わせいただくといいと思います!
他にもこんなこと知りたいよ~ってことがあれば教えてください!

本日もお疲れ様です!
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