商品パッケージの表示付けの際、「この商品にはどんな表示をしたらいいのか分からない。」「見様見真似で表示してみたけど合っているか自信がない。」ということはよくあるのではないでしょうか?
特にリサイクルマークについてはご相談いただいた経験も多くあり、皆さん苦労されている印象があります。
本記事では、リサイクルマークの表示方法について、実務経験から得た考え方をお伝えしたいと思います。
最も重要で基本的なこと
リサイクルマークを考える際に最も重要で基本的なことは、
”その商品における容器包装を正確に見極めること” です。
ここで言う容器包装とは、容器包装リサイクル法における容器包装のことを指します。
リサイクルマークの基本
なぜ、”その商品における容器包装を正確に見極めること” が重要かつ基本的なのかというと、
正しいリサイクルマークの基本は、”適切な場所に適切な内容を表示をすること” だからです。
適切な場所、適切な内容
”適切な場所” とはどこを指すのか、分かりやすい例として経済産業省ウェブサイトの以下の内容を示したいと思います。
(Q15) 商品説明のタグや説明書にプラマークまたは紙マークを表示してもよいのですか?
<回答>
商品説明のタグや説明書は容器包装には該当しないので、プラマークまたは紙マークを表示しないでください。識別表示は容器包装の分別のための表示なので、容器包装自身に表示する必要があります。
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html)
”識別表示は容器包装の分別のための表示なので、容器包装自身に表示する必要があります。” と明記されていますね。このことから、”適切な場所” の条件として”容器包装自身” が含まれると言えます。
次に、”適切な内容” については細かいルールがたくさんあるので、ここではざっくりと、”容器包装の材質に見合ったマーク(プラマークまたは紙マーク)” と考えます。
容器包装の材質を考えるためには、どれが容器包装か特定する必要がありますよね。
以上のことから、”その商品における容器包装を正確に見極めること” は、リサイクルマークを考える際に最も重要で基本的なことであると言えます。
次からは、容器包装を正確に見極めるにあたり、最低限知っておくべきことを紹介していきます。
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識別マークと識別表示
”識別マーク” は以下に示す ”識別表示” を施すために定められたマークです。
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包装リサイクル法」という。)」で再商品化義務が定められている下表の特定容器包装のうち、1~5の容器包装には定められたマークにより識別表示を施すことが義務化されています。これは、リサイクルが円滑に行われるよう、消費者が容易に分別排出できるようにすることを目的としています。
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html)
特定容器包装 | 再商品化義務 | 識別表示義務 |
---|---|---|
プラスチック製容器包装 | あり | あり |
紙製容器包装 | あり | あり |
飲料・酒類・特定調味料用 PETボトル | あり | あり |
飲料・酒類用スチール缶 | なし | あり |
飲料・酒類用アルミ缶 | なし | あり |
他のスチール・アルミ製容器包装 | なし | なし |
ガラス製容器 | あり | なし(表示不要) |
飲料・酒類用紙パック (アルミ不使用) | なし | なし(自主表示) |
段ボール製容器包装 | なし | なし(自主表示) |
上記の通り、識別表示義務があるのは下記の5種類です。
- プラスチック製容器包装
- 紙製容器包装
- 飲料・酒類・特定調味料用PETボトル
- 飲料・酒類用スチール缶
- 飲料・酒類用アルミ缶
これら5種類のいずれかを使用している場合は正しく表示をする必要があります。
次からは、容器包装の見極め方について記載していきます。
容器包装の判断
容器包装リサイクル法では、容器包装リサイクル法における容器包装に該当するか否かを、以下の観点から判断するとしています。
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/02/faq/faq1.html)
- 「容器」又は「包装」に該当するか
- 「商品の容器及び包装」に該当するか
- 「当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」に該当するか
順番に見ていきたいと思います。
「容器」又は「包装」に該当するか
答えが「Yes」であれば、次に進みます。「No」であれば、それは表示義務のないものである可能性が高いです。
例として、一般的な袋や箱、ブリスターパックなどは、物を入れたり、包んだりする用途のものであると考えられます。
「商品の容器及び包装」に該当するか
答えが「No」であれば、それは表示義務のないものである可能性が高いです。「Yes」であれば、次に進むのですが、ここで注意事項があります。
次の確認を追加してください。
例えば、台紙や緩衝材、帯状のラベルなどのことです。
答えが「Yes」であれば、これらについても「商品の容器及び包装」と解釈されます。
「当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」に該当するか
答えが「Yes」であれば、”それ” または ”それら” は容器包装リサイクル法における容器包装に該当すると可能性が高いです。
また、「No」であれば、それは表示義務のないものである可能性があります。
「No」となる例としては、CDケースが挙げられます。これは開封後も、保管や持ち運びとしての用途があるためです。
参考例
上記を踏まえて具体的な例を見ていきたいと思います。
商品はボールペンとします。
・商品は袋に入れており、袋の中には商品の他に、台紙が入っています。
・袋および台紙は商品情報などが印刷された無地ではないものとします。
それでは、順番に確認していきます。
「商品の容器及び包装」に該当するか
ここでは、一番外側の袋について確認します。この袋は「物を入れるもの」であるため、答えは「Yes」です。
「商品の容器及び包装」に該当するか
この袋は「商品であるボールペンを入れるもの」であるため、答えは「Yes」です。
また、「袋以外にボールペンを保護したり固定しているもの」は、台紙が該当します。
「当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」に該当するか
袋と台紙は、商品であるボールペンを取り出した時点で捨てるので不要になります。
以上より、今回の例において、容器包装リサイクル法における容器包装に該当することが分かりました。
まとめ
長々と解説してきましたが、最も伝えたいことはこれです。
正直、これができないと正しい表示はまずできないので、自社の商品を使って練習してみるといいと思います。
リサイクルマークの相談は、「産業技術環境局 リサイクル推進課」や「試験・検査機関(取扱いがある場合)」でできるはずなので、意見を聞いてみてもいいと思います。
容器包装の判断だけでも長い記事になってしまったので、具体的な表示方法については続きの記事で書きたいと思います。良かったら見ていってください。
本日もお疲れ様です!
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