繊維製品の品質管理において頻出する「染色堅ろう度」の1種にドライクリーニング堅ろう度があります。
ドライクリーニング堅ろう度とは
簡単に言うと、有機溶剤に対する染色の耐久性です。
ここでの「染色の耐久性」とは以下の2点を指します。
- 試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
- 試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)
ドライクリーニング堅ろう度試験について
ドライクリーニング堅ろう度試験はJIS(日本産業規格)でその試験方法が定められています。
規格番号と規格名称を下記に示します。
規格番号:JIS L 0860
規格名称:ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法
また、JIS L 0860では試験の要旨について以下のように示しています。
複合試験片を規定の有機溶剤で処理し, 乾燥した後試験片の変退色及び添付白布の汚染の程度を, それぞれ変退色用グレースケール及び汚染用グレースケールと比較するか, 又は計器によって変退色等級及び汚染等級を求めて, その堅ろう度を判定する。
JIS L 0844 3.1 試験の原理 より引用
複合試験片とは試験片となる染色物(ドライクリーニング堅ろう度を調べたい試料)に添付白布と呼ばれる試験布を縫い付けたものです。
添付白布を付けることで、他のものへの移染のしにくさ(色移り等)を評価することができます。
なお、ドライクリーニング堅ろう度では多繊交織布と呼ばれる白布を添付白布として用います。
複合試験片を試験用の容器に試験液(有機溶剤)・ステンレス鋼球とともに入れます。
この容器を試験機に取り付け、規定の速度で回転させます。
30℃で30分間の処理を行います。
その後、複合試験片を取り出し、脱液・乾燥させた後、変退色と汚染の級数を判定します。
- 変退色=試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
- 汚染=試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)
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試験結果は5級から1級まで9段階の級数で表されます。4級と5級の間の級数は「4-5級」と表記され「よんごきゅう」と呼ぶことが多いです。「3-4級」は「さんよんきゅう」、「2-3級」は「にさんきゅう」、「1-2級」は「いちにきゅう」と呼ぶ人が多いです。
また、変退色、汚染ともに級数の数字が大きい方が堅ろう度が良い結果といえます。
ドライクリーニング堅ろう度試験を実施するメリット
ドライクリーニング堅ろう度は前述したとおり、有機溶剤に対する染色の耐久性を表しています。
そのため、ドライクリーニング堅ろう度が悪いものは、製品を有機溶剤を使用してクリーニング処理した際に色が変化してしまい外観を損ねたり、ドライクリーニングに出したときに、一緒に処理したものに色移りが生じてしまい、消費者クレームの原因になることがあります。
事前に試験をしておくことで、このようなクレームを未然に防ぐことができるのがドライクリーニング堅ろう度試験を実施するメリットの一つであり、試験を実施する目的であると考えられます。
ドライクリーニング堅ろう度試験を実施している検査機関
ドライクリーニング堅ろう度試験を実施している代表的な検査機関は下記となります。
- 一般財団法人 カケンテストセンター
- 一般財団法人 ボーケン品質評価機構
- 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター
- 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター
- 一般財団法人 ケケン試験認証センター
まとめ
- ドライクリーニング堅ろう度は、簡単にいうと有機溶剤に対する染色の耐久性。
- ドライクリーニング堅ろう度試験では、変退色と汚染の2つを評価する。
- ドライクリーニング堅ろう度試験を実施しておくことで、製品を有機溶剤を使用してクリーニング処理した際に色が変化してしまい外観を損ねたり、ドライクリーニングに出したときに、一緒に処理したものに色移りが生じてしまい、消費者クレームに繋がることを未然に防ぐことができる。
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