PR

塩素処理水堅ろう度試験とは【解説】(※動画あり)

試験を知る
記事内に広告が含まれています。

繊維製品の品質管理において頻出する「染色堅ろう度」の1種に塩素処理水堅ろう度があります。

塩素処理水堅ろう度とは

簡単に言うと、水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性です。

ここでの「染色の耐久性」とは以下の内容を指します。

  • 試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
塩素による変色

黒色の服が赤っぽく変色してしまった経験はありませんか?

これは、塩素による変色の可能性が考えられます。

塩素による変色では青系の色が抜ける傾向があります。

「黒」というのは様々な色を混ぜて表現しているので、青系の色が抜けると赤系の色が残り、赤っぽく見えるのです。

が抜けると赤っぽくなるイメージ

塩素処理水堅ろう度試験について

塩素処理水堅ろう度試験はJIS(日本産業規格)でその試験方法が定められています。

規格番号と規格名称を下記に示します。

規格番号:JIS L0884

規格名称:塩素処理水に対する染色堅ろう度試験方法

塩素処理水堅ろう度試験では試験片を試験用の容器に試験液(塩素を含んだ水)とともに入れます。

試験方法ごとに塩素の量が異なり、塩素の量が多いほど過酷な条件であると言えます。

この容器を試験機に取り付け、規定の速度で回転させます。

処理条件は、以下の通りです。

  • A法:25℃で30分間
  • B,C,D法:27℃で60分間

その後、試験片を取り出し、乾燥させた後、変退色の級数を判定します。

塩素処理水堅ろう度 イメージ
  • 変退色=試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)

中国人スタッフに誤解なく伝えるのが一番難しい・・・

そんな方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!

試験結果は5級から1級まで9段階の級数で表されます。4級と5級の間の級数は「4-5級」と表記され「よんごきゅう」と呼ぶことが多いです。「3-4級」は「さんよんきゅう」、「2-3級」は「にさんきゅう」、「1-2級」は「いちにきゅう」と呼ぶ人が多いです。

また、変退色、汚染ともに級数の数字が大きい方が堅ろう度が良い結果といえます。

変退色の判定イメージ

変退色の級数は、元の色からどれだけ遠ざかったかをグレースケールというものを用いて判定します。

本来は試験用のグレースケールを使いますが、分かりやすくするために下図の変退色のバーを使って説明します。

元々の色はバーの左端の濃い黒です。試験をすることで、試料の色に変化が生じたとき、その色はこのバーのどのあたりの色が近いかを見て、級数を判定します。

級数のイメージ

塩素処理水堅ろう度試験を実施するメリット

塩素処理水堅ろう度は前述したとおり、水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性を表しています。

そのため、塩素処理水堅ろう度が悪いものは、塩素を含む水道水に触れた場合(洗濯含む)や水着を着てプールに入った際に色が変化してしまい外観を損ねることで、消費者クレームの原因になることがあります。

事前に試験をしておくことで、このようなクレームを未然に防ぐことができるのが塩素処理水堅ろう度試験を実施するメリットの一つであり、試験を実施する目的であると考えられます。

塩素処理水堅ろう度試験を実施している検査機関

塩素処理水堅ろう度試験を実施している代表的な検査機関は下記となります。

  • 一般財団法人 カケンテストセンター
  • 一般財団法人 ケケン試験認証センター
  • 一般財団法人 ボーケン品質評価機構
  • 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター

まとめ

  • 塩素処理水堅ろう度は、簡単にいうと水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性。
  • 塩素処理水堅ろう度試験では、変退色のみを評価する。
  • 塩素処理水堅ろう度試験を実施しておくことで、塩素を含む水道水に触れた場合(洗濯含む)や水着を着てプールに入った際に色が変化してしまい、消費者クレームに繋がることを未然に防ぐことができる。

セルロース系繊維の青系染料は要注意です!

「キーワード欄」には具体的な「試験名」「規格名」「訴求文言」、「タグ欄」からは「アイテム名」「性能の種類」を選択してください!

関連する試験と検査機関をまとめた記事が表示されます。

試験・検査機関選びに迷っている方はこちらの記事もどうぞ!

染色堅ろう度試験全般の実施可能機関をまとめた記事です。よければこちらもどうぞ!

プロフィール
この記事を書いた人
あたろう

某国立大学院(理系)を修了後、検査機関の職員として勤務。
ニッチで閉鎖的な業界ということもあり、ネット上に情報が少なく不便に感じる。
業界内の人間がそうなのだから、依頼者側からしたら、より分からないことが多いのでは?と考える。
それならば、「自分が調べて学んだ知識」や「調べ方」などのお役立ち情報を提供しようと当サイトを立ち上げる。
当サイトのテーマは「商品テスト(試験、検査)の攻略サイト」である。

あたろうをフォローする
試験を知る
あたろうをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました