PR

色泣き試験とは【解説】(※動画あり)

試験を知る
記事内に広告が含まれています。

繊維製品の品質管理において頻出する「染色堅ろう度」の1種に色泣きがあります。

色泣きとは

色泣きとは、繊維製品が水などに濡れた際に、水分の移動とともに染料等の色素が移動する現象で、一般的な言葉で表現すると「滲み(にじみ)」です。

もう少し詳しく解説

繊維製品は毛細管現象により吸水することができます。吸水をしている間は水分が移動していますね。この時、繊維に固着していない染料が繊維表面に存在していると、染料が移動中の水分に運ばれて、本来染料がない場所に移動してしまいます。移動した先が白色や淡色の場合、運ばれた染料が目立つため、滲んで見えてしまいます。この現象を「ブリード」と呼ぶこともあります。

色泣き試験について

色泣き試験はJISなどの規格で標準化されているわけではありませんが、業界では「大丸法」と呼ばれる方法で実施されることが多くあります。

大丸法では、以下を評価します。

  • 試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)

染色堅ろう度試験の多くは、「試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)」と「試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)」の両方、もしくは前者のみを評価します。

しかし、色泣きは後者の「試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)」のみを評価する試験になります。

試験方法は毛細管現象を利用します。

試験片(堅ろう度を確認したい試料)に添付白布を縫い合わせて複合試験片とし、試験液(少量の界面活性剤を含んだ水)に漬けます。

(※ボーダー柄の濃淡組み合わせ品は添付白布を使用せず、試験片単体で試験液に漬けることもあります。)

一定時間後、添付白布に移染した色の度合いを確認することで、他のものへの移染のしにくさ(色移り等)を評価することができます。

試験のイメージは下図をご覧ください。

色泣き試験 イメージ

自然乾燥させた後、汚染の級数を判定します。

  • 汚染=試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)

中国人スタッフに誤解なく伝えるのが一番難しい・・・

そんな方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!

試験結果は5級から1級まで9段階の級数で表されます。4級と5級の間の級数は「4-5級」と表記され「よんごきゅう」と呼ぶことが多いです。「3-4級」は「さんよんきゅう」、「2-3級」は「にさんきゅう」、「1-2級」は「いちにきゅう」と呼ぶ人が多いです。

また、級数の数字が大きい方が堅ろう度が良い結果といえます。

汚染の判定イメージ

汚染の級数は、元の添付の白色にどれだけ色が移ったかをグレースケールというものを用いて判定します。

本来は試験用のグレースケールを使いますが、分かりやすくするために下図の汚染のバーを使って説明します。

添付白布なので元々の色はバーの左端の白です。試験をすることで、白布に色移りが生じたとき、その色はこのバーのどのあたりの色が近いかを見て、級数を判定します。

級数判定のイメージ

色泣き試験を実施するメリット

色泣きは前述したとおり、繊維製品が水などに濡れた際に、水分の移動とともに染料等の色素が移動する現象です。

そのため、色泣きが悪いものは、製品が濡れるだけで色移りが生じてしまい、消費者クレームの原因になることがあります。

また、色泣きが悪い場合、未固着の染料が存在している可能性があり、他の染色堅ろう度(洗濯、汗、水、摩擦など)も悪い可能性が高いです。

事前に試験をしておくことで、このようなクレームを未然に防ぐことができるのが色泣き試験を実施するメリットの一つであり、試験を実施する目的であると考えられます。

対処法

未固着の染料が原因である可能性が高いので、「洗い流す」か「固着させる」ことで改善する可能性があります。

色泣き試験を実施している検査機関

色泣き試験を実施している代表的な検査機関は下記となります。

  • 一般財団法人 カケンテストセンター
  • 一般財団法人 ボーケン品質評価機構
  • 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター
  • 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター
  • 一般財団法人 ケケン試験認証センター

まとめ

  • 色泣きとは、繊維製品が水などに濡れた際に、水分の移動とともに染料等の色素が移動する現象
  • 色泣き試験では、汚染のみを評価する。
  • 色泣き試験を実施しておくことで、製品が濡れるだけで色移りが生じてしまい、消費者クレームに繋がることを未然に防止できる。

有機溶剤を試験液とした試験も存在します!

「キーワード欄」には具体的な「試験名」「規格名」「訴求文言」、「タグ欄」からは「アイテム名」「性能の種類」を選択してください!

関連する試験と検査機関をまとめた記事が表示されます。

試験・検査機関選びに迷っている方はこちらの記事もどうぞ!

染色堅ろう度試験全般の実施可能機関をまとめた記事です。よければこちらもどうぞ!

プロフィール
この記事を書いた人
あたろう

某国立大学院(理系)を修了後、検査機関の職員として勤務。
ニッチで閉鎖的な業界ということもあり、ネット上に情報が少なく不便に感じる。
業界内の人間がそうなのだから、依頼者側からしたら、より分からないことが多いのでは?と考える。
それならば、「自分が調べて学んだ知識」や「調べ方」などのお役立ち情報を提供しようと当サイトを立ち上げる。
当サイトのテーマは「商品テスト(試験、検査)の攻略サイト」である。

あたろうをフォローする
試験を知る
あたろうをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました