品質管理を担当されている方は、商品の試験や検査に携わることが頻繁にあると思います。
「試験・検査の目的なんて教えられなくても知ってるよ!」
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、”多角的な視点から物事を考える”というのは非常に重要なことです。
一方で、先輩や取引先に言われるがまま試験・検査依頼をしているけど、
「試験・検査の目的なんて考えたこともない、、、」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、テスト機関の実務経験者が考える”試験・検査の目的”を綴っています。
「もう知ってるよ!」という方も「そういえば、試験・検査の目的ってなんだろう?」という方も、改めて”試験・検査”に向き合い、ご自身の仕事の意義や価値を再認識してもらえたら幸いです。
試験・検査の目的
製品の生産時における、試験・検査の目的の1つとして考えられるのは、
”製造した製品が、意図された状態になっているかを確認するため” です。
話を具体的にすると、
企画段階で「この商品は売れる!」と判断されたものが製造に進める訳ですが、そこには「売れる!」と判断した”要素”があるはずですよね。
それは、”特別な機能性”であったり、”扱いやすさ”であったり、”デザイン”等であったりすると考えられます。
これらの”要素”について、企画段階でイメージした状態をどこまで商品として表現できているかを確認することが、試験・検査の1つの役割であり、目的になります。
中国人スタッフに誤解なく伝えるのが一番難しい・・・
そんな方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!
試験・検査をするメリット
さまざまなメリットが考えられますが、これまで検査機関の人間として多くの商品、企業と接した中で感じた最も強力なメリットの一つがこちらになります。
商品、企業の信用が上がります。
なぜなら、わざわざ貴重なお金と時間をかけて、その商品の性能や安全性を証明することで、商品に対する責任を誠実に全うしようとしている姿が見えるからです。
では、商品と企業の信用が上がるとどうなるのでしょうか?
- 消費者心理として信用できる企業から信用できる商品を購入したいと考えます。
- エビデンスがあるので、企業は自社の商品を自信をもって消費者に薦められます。
- 結果、販売数が伸びる!
あくまで一例ですが、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
ちなみに、試験、検査を自社で行うのももちろん良いですが、第三者機関で実施された試験データは、より客観的で信頼できるものとされています。
試験・検査をしなかったらどうなる?
「試験・検査の目的は分かったけど、いつも試験結果は悪くないし、納品も近いから今回はスキップしちゃえ!」
この気持ちはよく分かります。
しかしながら、試験・検査を怠るということは、消費者に自社商品の本来の素晴らしい姿を知ってもらうことができないだけでなく、取り返しのつかないような事故につながるケースもあります。
下表は「事故情報データバンクシステム」に掲載された実際の事故情報です。
事故内容 | 製品破損 |
事故の概要 | 運動器具(ローラー型)を使用中、当該製品の部品が外れ、使用者の身体が床に落下。 救急搬送されたが、頚椎症性脊髄症の重傷。 |
傷病内容 | 骨折 |
傷病の程度 | 1カ月以上 詳細:重傷1名(60歳代) |
当該商品についての事前試験・検査の有無や破損の原因などは不明ですが、少なくとも、”あらかじめ意図された状態” でないことは確かです。
前項で述べた”要素” には当然ながら ”安全に使えること” が含まれます。
このような悲しい事態を引き起こさないためにも、試験・検査を行い、商品の状態を確認しましょう。
事故情報の調べ方
そうは言っても、起こり得るすべての可能性を考慮して試験・検査を行うのは途方もなく、非現実的です。
そこで、過去に起きてしまった事例を教訓とし、注意すべきポイントを絞ることで現実的な項目数の試験・検査を行うことが可能になります。
下記では、商品の事故情報をまとめている3つのサイトを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
独立行政法人製品評価技術基盤機構(外部サイトへリンクします)
まとめ
本記事では、商品テスト(試験・検査)の目的について、テスト機関での実務経験をもとに考えたことを書かせていただきました。
製品の生産時における、試験・検査の目的の1つは、”製造した商品が、意図された状態になっているかを確認するため”でしたね。
また、試験・検査を省略することのリスクと事故の簡単な対策法について述べました。
過去の失敗に学び、新しくて素晴らしい価値を安全に消費者に届けていきましょう!
それでは、今日もお仕事お疲れ様です!
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