繊維製品の品質管理において頻出する「染色堅ろう度」の1種に塩素処理水堅ろう度があります。
塩素処理水堅ろう度とは
簡単に言うと、水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性です。
ここでの「染色の耐久性」とは以下の内容を指します。
- 試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
塩素処理水堅ろう度試験について
塩素処理水堅ろう度試験はJIS(日本産業規格)でその試験方法が定められています。
規格番号と規格名称を下記に示します。
規格番号:JIS L0884
規格名称:塩素処理水に対する染色堅ろう度試験方法
塩素処理水堅ろう度試験では試験片を試験用の容器に試験液(塩素を含んだ水)とともに入れます。
試験方法ごとに塩素の量が異なり、塩素の量が多いほど過酷な条件であると言えます。
この容器を試験機に取り付け、規定の速度で回転させます。
処理条件は、以下の通りです。
- A法:25℃で30分間
- B,C,D法:27℃で60分間
その後、試験片を取り出し、乾燥させた後、変退色の級数を判定します。
- 変退色=試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
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試験結果は5級から1級まで9段階の級数で表されます。4級と5級の間の級数は「4-5級」と表記され「よんごきゅう」と呼ぶことが多いです。「3-4級」は「さんよんきゅう」、「2-3級」は「にさんきゅう」、「1-2級」は「いちにきゅう」と呼ぶ人が多いです。
また、変退色、汚染ともに級数の数字が大きい方が堅ろう度が良い結果といえます。
塩素処理水堅ろう度試験を実施するメリット
塩素処理水堅ろう度は前述したとおり、水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性を表しています。
そのため、塩素処理水堅ろう度が悪いものは、塩素を含む水道水に触れた場合(洗濯含む)や水着を着てプールに入った際に色が変化してしまい外観を損ねることで、消費者クレームの原因になることがあります。
事前に試験をしておくことで、このようなクレームを未然に防ぐことができるのが塩素処理水堅ろう度試験を実施するメリットの一つであり、試験を実施する目的であると考えられます。
塩素処理水堅ろう度試験を実施している検査機関
塩素処理水堅ろう度試験を実施している代表的な検査機関は下記となります。
- 一般財団法人 カケンテストセンター
- 一般財団法人 ケケン試験認証センター
- 一般財団法人 ボーケン品質評価機構
- 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター
まとめ
- 塩素処理水堅ろう度は、簡単にいうと水道水やプールの水に含まれる塩素に対する染色の耐久性。
- 塩素処理水堅ろう度試験では、変退色のみを評価する。
- 塩素処理水堅ろう度試験を実施しておくことで、塩素を含む水道水に触れた場合(洗濯含む)や水着を着てプールに入った際に色が変化してしまい、消費者クレームに繋がることを未然に防ぐことができる。
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