繊維製品の品質管理において頻出する「染色堅ろう度」の1種に洗濯堅ろう度があります。
洗濯堅ろう度とは
簡単に言うと、洗濯に対する染色の耐久性です。
ここでの「染色の耐久性」とは以下の2点を指します。
- 試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
- 試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)
洗濯堅ろう度試験について
洗濯堅ろう度試験はJIS(日本産業規格)でその試験方法が定められています。
規格番号と規格名称を下記に示します。
規格番号:JIS L 0844
規格名称:洗濯に対する染色堅ろう度試験方法
また、JIS L 0844では試験の要旨について以下のように示しています。
複合試験片を, 規定する方法に基づいて試験液に入れて処理し, 水洗して乾燥した後, 試験片の変退色及び添付白布の汚染の程度を, それぞれ変退色用グレースケール及び汚染用グレースケールと比較するか, 又は計器によって変退色等級及び汚染等級を求めて, その堅ろう度を判定する。
JIS L 0844 3 要旨 より引用
複合試験片とは試験片となる染色物(洗濯堅ろう度を調べたい試料)に添付白布と呼ばれる試験布を縫い付けたものです。
添付白布を付けることで、他のものへの移染のしにくさ(色移り等)を評価することができます。
複合試験片を試験用の容器に試験液(洗剤)とともに入れます。
この容器を試験機に取り付け、規定の速度で回転させます。
処理時間や洗濯槽の温度は試験方法ごとに定められています。
一般的に採用されることの多いA-2法は、50℃で30分間の処理を行います。
その後、複合試験片を取り出し、水洗い・脱水・乾燥させた後、変退色と汚染の級数を判定します。
- 変退色=試料となる染色物自身の変色のしにくさ(色褪せ等)
- 汚染=試料となる染色物から他のものへの移染のしにくさ(色移り等)
中国人スタッフに誤解なく伝えるのが一番難しい・・・
そんな方は、ぜひこちらの記事をご覧ください!
試験結果は5級から1級まで9段階の級数で表されます。4級と5級の間の級数は「4-5級」と表記され「よんごきゅう」と呼ぶことが多いです。「3-4級」は「さんよんきゅう」、「2-3級」は「にさんきゅう」、「1-2級」は「いちにきゅう」と呼ぶ人が多いです。
また、変退色、汚染ともに級数の数字が大きい方が堅ろう度が良い結果といえます。
洗濯堅ろう度試験を実施するメリット
洗濯堅ろう度は前述したとおり、洗濯に対する染色の耐久性を表しています。
そのため、洗濯堅ろう度が悪いものは、製品を洗濯した際に色が変化してしまい外観を損ねたり、洗濯したときに、一緒に洗濯したものに色移りが生じてしまい、消費者クレームの原因になることがあります。
事前に試験をしておくことで、このようなクレームを未然に防ぐことができるのが洗濯堅ろう度試験を実施するメリットの一つであり、試験を実施する目的であると考えられます。
洗濯堅ろう度試験を実施している検査機関
洗濯堅ろう度試験を実施している代表的な検査機関は下記となります。
- 一般財団法人 カケンテストセンター
- 一般財団法人 ボーケン品質評価機構
- 一般財団法人 ニッセンケン品質評価センター
- 一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター
- 一般財団法人 ケケン試験認証センター
まとめ
- 洗濯堅ろう度は、簡単にいうと洗濯に対する染色の耐久性。
- 洗濯堅ろう度試験では、変退色と汚染の2つを評価する。
- 洗濯堅ろう度試験を実施しておくことで、製品を洗濯した際に色が変化してしまい外観を損ねたり、洗濯したときに、一緒に洗濯したものに色移りが生じてしまい、消費者クレームに繋がることを未然に防ぐことができる。
洗濯可能商品は事前確認必須です!
「キーワード欄」には具体的な「試験名」「規格名」「訴求文言」、「タグ欄」からは「アイテム名」「性能の種類」を選択してください!
関連する試験と検査機関をまとめた記事が表示されます。
試験・検査機関選びに迷っている方はこちらの記事もどうぞ!
染色堅ろう度試験全般の実施可能機関をまとめた記事です。よければこちらもどうぞ!
コメント